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文藝春秋
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標題作は重厚過ぎる位重厚な歴史を語る秀作
表題作はつまらない、だが他2作が秀逸
運命に翻弄
感動しました
著者: 司馬遼太郎
初版: 2004年10月10日
種類: 歴史
5段階評価: 3・・・ひとつでもお気に入りがあれば良作
三作品収録の短編集である。この方も歴史物として有名であり、初めてこの作品を読んでみた。
しかし、この人は作家と言うよりも歴史家にちかいかもしれないね。物語も司馬遼太郎さん本人の“語り口調”で進んでいくことがある。なので純粋にストーリーを楽しみたい人にはやはりむいていないかもしれない。
また文章全体で言葉が古いため、歴史物が慣れていない人は、この作品はより読みにくくなっている。
さて、それらを差し引いても面白い物は面白い。何かひとつでも気に入った作品があれば短編集としては満足のいく本であると私は思う。ちなみに私は最後の“胡桃に酒”が気に入った。それだけでも読んで良かったと思う。
『故郷忘じがたく候』
この本の題名にもなっている作品。豊臣政権時代、朝鮮出兵時に島津義弘によって日本に連れてこられた朝鮮人の物語である。薩摩焼を繁栄させた朝鮮人の沈氏をピックアップしているが、全て“語り”で進められている。そして使われる言葉の多くが古いため、慣れない内は読みにくくて仕方ないと思う。
後は…司馬遼太郎があまりにも沈氏を含めた朝鮮人を心酔している様が少しだけだが引いた(汗)いや、素晴らしいと思うし悲劇であり、そして熱い信念のある方達と思うけどね。
三作品の中では一番クセがあるため、最初に掲載されてるのいが惜しいと思う。でも、司馬遼太郎が一番伝えたい作品なんだろうなーっとは読んでいて分かりました。
『斬殺』
幕末時代、新政府軍と会津藩・仙台藩の群像劇であり、主に世良修蔵を中心に物語は進み、時代の混沌を描いています。うーん、面白くはあったけど印象には残りにくいかな?
丁寧に書かれているため読みやすくはあるんだけど、淡々としすぎてて物足りない。「あ、これで終わり?」って感じ。余韻とかは全くありませんでした。
世良修蔵も馬鹿っぷりを書かれてるけど、彼も時代の流れの被害者ですよね。馬鹿なほど頑固ではあるけど、仕事には忠実で必死で任務を全うとしている。これが現代だったら彼に協力する人間も少しはいたかもしれない。享年33歳。
『胡桃に酒』
細川忠興と妻“たま”の物語。単純に言うと、ひたすら夫婦喧嘩を書いた話である。しかし、私はこの話が一番楽しく読めました。
彼女の女性としての強さ、凛とした精神は男の自分が読んでも格好良く清々しい。その格好良い生き様に、時に恐ろしく感じ、時に鳥肌が立つほど感激した。後にも有名になっていく彼女の最後は、石田三成が関ヶ原で負けた要因の一つと言われているほど。
現代で、彼女の様に自分をしっかりと持ち、自分の生き様・死に様を見つめられる人はどれ程いるのだろう…。
享年38歳
洗礼名:ガラシャ
読んでいて胸が締め付けられる彼女の信念は、悲しくも羨望な余韻に浸ってしまう。
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