評論（書籍） トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか

トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか (ヤマケイ文庫)

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羽根田治 飯田肇 金田正樹 山本正嘉
山と渓谷社
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著者:　羽根田治、 飯田肇、金田正樹、山本正嘉
初版:　2012年8月5日
種類:   ドキュメント
5段階評価:　4・・・様々な角度から…過ぎないかな(汗)


ドキュメント本が大好きである。
感想は載せてないが結構読んでたりします。

真実は小説より奇なり。
下手な物語よりも緊迫感があり、のめり込めるんですよ。

さて、この本は2009年に起きた大量遭難、百名山の一つである北海道大雪山系のトムラウシ山で8名が亡くなるという大事件を綴っている。警察やマスコミが公表していない部分も取材とインタビューで明らかにしています。

私は、この手の本は自分を現場に置き換えて読むので、不謹慎かもしれないがハラハラドキドキして読みふけてしまう。軽い気持ちの登山のはずが徐々に追い詰められて極限に至る。まさに下手な物語よりも臨場感は溢れているのだ。

山の恐ろしさや、登山の対処法も親切に明記されてます。
少しでも興味が湧いたのなら読む価値はあるじゃないかな？

テレビの報道では原因の一端として扱われていたガイドの方の状況も分かり、
少しはガイド達に対する見方が変わるかと思います。

ただ正直、第一部「ツアー当時のドキュメント」、第二部「ガイドの証言」以外はそれほど興味は湧きませんでした。私が好きなのは事件の当時状況のドキュメンタリーであって、この本を手に取る人の多くも、そうかと思います。

なので
医学観点から見た低体温症や、
気象学から見た当時の天気や、
運動生理学からみた男女や年齢の違いの影響とか、

専門的すぎて読むの大変でしたよ！！
しかも読んだあともよく理解できませんでいた(涙)！

様々な角度から切り込ん行くのは素晴らしいけど、あまり専門的過ぎると読む人を選んで しまいます。ここまで読む人は、もう本当に限りなく遭難事故を知りたい専門学生くらい じゃなかろうか？(登山の危険性を知りたい登山家は別の特集本を読むと思われる)

約350Pで値段は1000円もする本です。
ドキュメンタリーの部分は約150P…

少し贅沢な意見かもしれないが、多くの人に読んでもらいたのなら内容をもう少し薄く して値段を抑えても問題無かったんじゃないかなと思います。

評論（書籍） ひめゆりの塔をめぐる人々の手記

ひめゆりの塔をめぐる人々の手記 (角川文庫)

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仲宗根 政善
角川書店
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著者:　仲宗根 政善
初版:　1982年4月10日
種類： 戦時ドキュメント
5段階評価:　5・・・読まなければいけない


私が“ひめゆりの塔”に行ったのは5年前でした。
ツアーで行き、時間も無かったので入り口に行ったのみで終わった。

しかし今年の春に、じっくりと見学をすることが出来たのだ。
正直、言葉が出ませんでした。

初めて目にする現実。
初めて耳にした生の声。

私は食い入るように資料を見て回った。
フィルムも通して見た。

最後に、ひめゆり学徒の顔写真と亡くなった経緯が展示されてる部屋で、時間の許す限り見て回った。残念ながら100名程しか見れなかったが、彼女達の叫びが聞こえるようで胸が締め付けらる。

彼女達は状況を聞かされず戦場に行かされ、
それでも最後まで献身的に尽くし果てたのだ。

わずか16歳から20歳の少女達が銃弾を飛び交う中で任務に就かされ、
目の前で級友達が死んでいく。

空腹に耐え、
痛みに耐え、
それでも祖国を愛して信じ抜いた。

彼女達を思えば思うほど泣きそうになってしまう。

しかしこの悲しい出来事は、
今の若者には届かないのかもしれない。

私が見学しているとき、同時に高校生の団体も見学をしていた。
修学旅行の生徒達なのか、男女含めて多くの学生がひめゆりの塔にいた。

そして、こともあろうか彼らは笑ってた。
写真を指さして笑顔で爆笑していたのだ。


「これ、まるで指名手配の写真じゃね(笑)」

「たしかに！これ犯罪者！これもじゃん！」

「これなんて凶悪犯罪者っぽくね。」

(全員で爆笑)


フィルムもまともに見る生徒はいない。

悲しかった。
そして怒りが湧いた。

私は高校生の頃に修学旅行で原爆ドームに行きました。
行ってた高校は決して頭の良い優良学校ではありませんでしたが、みな黙々と資料を見て歩き、被爆した老婆の講演も静かに聴いたのだ。

年寄り臭い言い方になってしまうが、
今の若者は道徳心が弱いんじゃなかろうか？
(以前も似たような経験をしたので)

もっと身近に感じてほしい、想像をして共感して欲しい。

彼女達が自分たちと同じ歳であったこと。
彼女達が守ろうとした物が未来である自分たちであること。

例えば、この書籍でも良い。
授業で扱ってもらいたい

この本では奇跡的に生き残ったひめゆり部隊の教師である仲宗根 政善が、同じく奇跡的に生きた生徒達の経験を時系列に追って綴っています。決してうまい文章ではありません。名字が同じ生徒もいるので、前半と後半で同一人物かどうかが分かりにくかったりします。そもそも物書きの人の文章ではないから当たり前です。

ただ、生々しく現実を見せてくれるだけです。
それだけで充分です。

決して彼女達の写真で笑うなんて出来なくなるはずです。

「戦争」と言う過酷な環境で、
少女達のどこまでも純真無垢な存在が多くの人達を救った。

だが死は彼女達にも襲いかかる。
そして針ほどの動きが生死を決定するのだ。

肩を並べていて、一人は死に、一人は助かる。
一歩先の学友は即死、一歩後ろの者はかすり傷を負って命を取り留めた。
三人で並んでいたら砲弾が落ちてきて真ん中の少女だけが被弾した。

最初から名前の出ていた少女が、
最後の最後で集団自決をしてしまう。

彼女達は生きたかった。
隣り合わせの死は恐怖でしかなかった。

それでも最後まで戦場を駆け回ったのだ。

運命に逆らい必死に足掻いた軌跡が、ここにあります。
  

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○Web拍手メッセージへの返信

＞私も修学旅行でひめゆりの塔に行き 戦争体験者の講話をきいて 胸が締め付けられ泣いてしまいました。 その後は友達と資料を見て周りましたが 誰も笑う人はいませんでした。

普段学校ではふざけている私達ですが、
さすがにひめゆりの塔では真剣に資料を 読みほとんど会話もありませんでした。

言葉が出なかったのです。 戦争は本当に悲惨な話しだと思います。 それを今の若い世代もきちんと理解 しています。理解していない人も いるかもしれませんが、ごく少数です。

若い世代に伝わっているとしたら、上記の文章は不適切だったかもしれません。

全てがあなたの様な感受性だったら嬉しいですね。
……すみません、ちょっと上から目線ですかね。

戦争は本当に悲しいです。
「これからの世代を巻き込んで何が得られる戦いなんだ」って思います。

ちなみに上記の出来事の時ですが、
ふざけあってる生徒たちを見て教師も微笑んでて驚きました。

ただ、やっぱり全員がふざけてるわけじゃないんでしょうねぇ。
中高生の世代って大多数か中心人物が「こうだ！」って感情を出すと、
それに合わせないと白けられる連帯感があると思います。

私が見た団体の中にも、
本当は悲しんでる生徒が居たと、私は信じています。

評論（書籍） 野村イズムは永遠なり

野村イズムは永遠なり (小学館文庫)

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野村 克也
小学館 (2011-04-06)
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著者:　野村克也
初版:　2011年4月11日
種類： 野球人生論
5段階評価:　4・・・ファンじゃない野球ファンなら“3”


プロ野球、元・楽天監督の野村監督のエッセイです。
既に２冊も過去に出版していたみたいですが、この方の本は初めてです。

ヤクルト監督時代から好きな人物でしたが、
新制楽天を率いたときが一番好きでしたね。

それにしても野村さんは嶋選手のことを気に掛けてたのがよく分かります。
頑張ってもらいたいですが、楽天経営陣は“野村色”を消したがってるみたいで寂しいですな。

さて、内容の方だが、これは本当に勉強になる。
例え野球に関して事でも、これは社会人として受け取れるのだ。

特に“褒めること”に関しては共感できる。

最近は叱ることを恐れて、人を褒めてばかりで育てる人間が多いこと。
褒めることは、叱りに叱ってこそ成り立つことを忘れている。

確かに最近は感じてる。
私が社会人になったばかりの頃は何でもかんでも怒られたものだ（限度は酷かったが）

しかし、近年は怒る人が減ったなーっと感じてきている。
まあ打たれ弱い若者が増えたってのもあると思いますけどね。

そして次に響いた言葉。
これは上司になるための資格らしいのですが、

１．深沈厚重なるは第一等の資質なり。
　　組織の上に立つ物は物事に動じない人物

２．磊落豪雄なるは第二等の資質なり。
　　太っ腹で細かいことを気にしない性格

３．聡明才弁なるは第三等の資質なり。
　　才能豊かで弁の立つ人物
　　
これは常に監督と言う組織の上に立ってた人物の言葉であり、
大変ためになる物だと思います。

この言葉を旨に自分の周りの上司を見るのも面白いかもしれませんね。
とにかく直ぐにキョドって失敗を誰かのせいにする人物は上司向けではないですな。

後、贔屓をする人物は上司に向いてないってのも納得。
贔屓は組織に派閥を作るからね。

上司が、人の上に立つ人間が、好き嫌いで人を扱うのは間違いなんですね。

自己啓発本やビジネス書って、読んでる人は分かると思いますが、
基本的に何を言ってるのか分からないのも多いですよね。

「あれ、最初のことと矛盾してね？」

ってのも多い物ですが、この方のは一貫して変わらないのが凄い。
凄い自信の持ち主で、時々だが自分で自分を褒めてる部分も少なくない。

ただ、それ故に嫌う人も多いのが事実です。

「俺は月見草」
と自分を揶揄してきた方ですので、よく言えば自分を分かってる人です。
パフォーマンスを重視せず、黙々と結果を残した野球職人。

そんな人を自分の人生と照らし合わせてみるのも勉強になりますよ。

評論（書籍） 不機嫌な職場～なぜ社員同士で協力できないのか

不機嫌な職場~なぜ社員同士で協力できないのか (講談社現代新書)

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河合 太介 高橋 克徳 永田 稔
講談社
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著者:　河合 太介、高橋 克徳、永田 稔
初版:　2008年1月18日
種類： 自己啓発
５段階評価:　4・・・人それぞれですよ


熟読しました。

この本では主に「タコツボ化」について言及しています。

 

確かに、現在、メディアにて社会人の「タコツボ化」は深刻な問題として取り上げられている。書籍としても多数が議題として取り上げているため、目にすることは多いはずである。しかし、どこか他人事のように思ってしまい、深く考えたことは皆無だったと言える。

さて、問題となっている「タコツボ化」であるが、これは自分の殻に閉じこもってしまう現象を卑下した表現である。例えば同じ社内の人間同士なのに、お互いどんな業務をしているのかを知らない。知ろうとすらしない。発言しない。協力しない。関わらない。つまり自分を守ろうとする心理である。そしてコミュニケーションの不足により社内全体がギスギスしてしまう。「タコツボ化」とは個人の現象を表現しているが、このように会社全体としての重要な問題と言える。

ではどうすればこの問題を解決出来るのだろうか。この書籍では、幾つか解決策が出ている。例えば問題のひとつである不足がちな挨拶に対しては義務付け、ミーティング時には報告のみにせずコミュニケーションを取ることなどが解決策として挙げられている。

だが、私はこれでは解決出来ないと思っている。ミーティング時におけるコミュニケーションだが、その場でいきなり

「さあ、お互いのことを話そう」
「さあ、何か言いたいことがあれば言ってくれ」

と、発言を強要することは筋違いである。挨拶も然りである。ある瞬間からいきなり義務付けたところで、既にタコツボ化になってしまっている者には苦痛にしかなく、最初こそ行動に移したところで次第に元に戻るか、益々閉じこもってしまうだけである。

私が思うに、大切なのは強制しない、しかし皆が表現できる状況は作ってあげることが必要なのではないだろうか。例えば私が以前いた職場では、常に多くの人と飲みに行く機会が与えられていた。また、上司がよく話しかけてくるのだが、仕事の話し以外にも世間話しや身の上話も多かった。それだけでも随分違うと思う。

お互いの人となりを理解し合い、接するのに抵抗が無くなり、自分を前に出しやすくなる。すると挨拶だって自然に出来るようになるのだ。これは何かを強要するよりも自然で簡単ではないだろうか。

しかし、ここで私が述べた解決策も確かなものではないだろう。それほど人間の深層心理に訴えることは難しいことなのだ。

そもそもだ。こういった事は訴えてる年配の層こそ問題があると思うんだけどね。

朝とか、挨拶をしないのは大抵年配の方である。前の職場も今の職場も、私はきちんと挨拶をしていた。しかし、年配の方は返してくれないのだ。なので次第に私も挨拶の数は減ってきた。

すると暫くして年配の上司達が「挨拶が無い！元気が無い！！」として当番制にして朝、会社の通路で挨拶をしてたりする。

普段、挨拶をしない人が、ある期間だけ喚起してる姿は何とも滑稽である。



あ……本の感想を言ってませんでしたね（汗）

まあ、この本は参考になるのではなく、この本を読んで改めて自分達の状況を考えてみようと省みるのが正解だと思います。例として出されている企業の解決策も極端だしね。それを模倣して解決出来るとは思えません。

評論（書籍） さおだけ屋はなぜ潰れないのか？

さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学 (光文社新書)

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山田 真哉
光文社
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おすすめ度の平均:

会計の勉強をしている人が読むと面白いかも
タイトルコピー新書ブームの定番
期待はずれ
タイトルにやられた
易しさを追求し過ぎた感が・・・
 

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著者:　山田　直哉
初版:　2005年2月20日
種類： 会計入門書
５段階評価:　3・・・そんなに騒ぐ程じゃないかな？

　もの凄く売れた本なので皆知っているかと思われる。でも良く考えて買って下さいよー。これ会計士の本ですよー。

つまりだ。さおだけ屋がなぜ潰れないかを語る本ではないのですよ！そんなのはこの本の1部にしかあらず。本当にこの謎が知りたければ立ち読みでもすれば直ぐです！実に数ページ位しか語ってませんし。まあ読まなくても考えれば分かる事でしたな（ヒント：副業）

では何故ここまで売れたか？それはやはりこの題名

『さおだけ屋はなぜ潰れないのか？』

これに尽きるでしょう。

同じ分かりやすい会計本だとしても題名が「分かりやすい会計の本」や「これを読めばあなたも会計士」だったらまず売れなかったと思う。

これらを踏まえて思うのが「この人頭良いなー」っと言う事である。読者を良い意味でも悪い意味でも惹き付ける方法を知っている感じなのだ。この本のタイトルだって「この題名なら売れる！」っと確信しての事だろう。

また、文中によく出てくる言葉

「私が昔執筆した『女子大生会計士の事件簿』は――」

はまるで読みなさい！と強調している様にも思えた。いや、してるんだろうね。池上彰さんの本もそうですが、本で自分の他の書籍の宣伝はしないでほしい。なんか冷める。「何もここで…」て感じだ。

総評すると、ベストセラーになるほどじゃないけど面白いかな？って感じでした。

さおだけ屋以外にも「何時までも潰れない中華店はどうして存在してるのか？」など様々な疑問を会計士の視点で解決してくれて勉強にはなります。

ただ純粋にさおだけ屋などの疑問を解決したい方は・・・やっぱり立ち読みで充分かと（汗）

評論（書籍） 伝える力

伝える力 (PHPビジネス新書)

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池上 彰
PHP研究所
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著者:　池上　彰
初版:　2007年5月2日 
５段階評価:　5・・・全てに納得が出来る一冊  

　子供番組にて、子供相手に質問の受け答えしていた方の本です。まあ有名な方ではあるね。メディアに持ち上げられただけで中身が薄い本よりもよっぽどためになる。

そして、さすが題名が題名だけに読んでいて分かりやすい。様々な事例を出して実に理解しやすく説明している。

人に初めての物事を説明するとき、それを子供に伝える意識をもたないといけない。

胸に込めました。

しかし、社会に出ると本当に伝える難しさは実感する。私自身もそうだが、時に本当に酷い人がいる。自分のテンポで、自分のテリトリーで説明する人、本当に困ります。

「こっちが知ってる前提で進めるなよ！分からないから聞いてるんだよ！」

「早いよ！」

「メモ取らせろよ！」

「専門用語使って説明するな！」

何度、泣きそうになったか……


さて、感想に戻ります。

この本に書かれていることでは、「勉強とは、学ぶ、知る以外にも“伝える”を意識しないといけない」ってのは感銘を受けた。これも少し意識づけないといけませんね。
 
さて、全体的に面白かったこの本ですが、やっぱり不満が残る部分はあります。

気になるインフレの説明を聞きたければ、別の本を買えってのは実に憎らしい。他の著者も結構使っている書き方ですが……そこまでして……っと思ってしまう。最後まで語らない物を話題に振るなよ！！