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著者: 池波 正太郎
初版: 1981年5月25日
種類: 人情劇
5段階評価: 3・・・ファンならの一冊
時代物である。
これだけで読む人を選ぶかもしれない。
私は時代物ってだけで読まず嫌いをしていたのだが、かなり読みやすく面白かった。
まあ三国志や新撰組を読むんだから大丈夫ではあったか……。
さて、まず題名の「上意討ち」だが、これは「上の命令で誰かを討つ」っと言う意味合いを示している。確かに、それをテーマにした話もあるが、これはこの本の全てではない。
この本は復讐、愛情、愛憎、様々な人情劇を書いた短編集なのだ。
実に11編もある文庫であり、読み応えは抜群。
そしてテンポが非常に良いので合間合間に読むのに非常に最適だったりする。
物語も素晴らしい。まさに昔の時代ならではの人情劇が心に響く。
現代だったら、もう職場で徒党組んで上司の悪口を言い合って不満をネットにぶちまけて、「ふひひwwサーセンww」となって、そんなの小説になったら別の意味で悲しくなる。
昔の日本だったから、人はここまで人を想い、人を狂わすのだろう。上をどこまでも信じ、また信じなくとも最後まで尽くす。そこから生まれる感情が実に丁寧に書かれており何とも悲しく、しかし惹かれてしまう。
ただ読み終わった後、なんだか“しこり”の様な物が残る作品もある。「え?これで終わり?」と驚くことでしょう。「疼痛二百両」なんてまさにそんな感じで、何とも続きが読みたくてモヤモヤしてしまった。巧妙に人間の心情を書いた「激情」も最初に登場する物語だけあって面白いのだが実に良いところで区切っている。まあ味と言えば言えるのかな?
総評としてはかなり面白かったです。でも物足りなさはあった。実はこの作品は池波正太郎さんがかなり若いときに書いた物も含まれるから納得である。初版が1981年で、作られたのが1950年だった作品もあったりするのだ。池波さんの脂がのるのは少し先なのである。
また、やっぱりどうしても時代物は合わない人は居ると思う。
なので私的には楽しく読めたが、万人向けではないのかもしれない。
最後に、この短編の中には新撰組の物語が3つ程書かれている。
これもまた面白いので新撰組が好きな人は読んで損はないと思う。
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