評論（書籍） 我が呼び声に応えよ獣―魔術士オーフェンはぐれ旅

我が呼び声に応えよ獣―魔術士オーフェンはぐれ旅 (富士見ファンタジア文庫)

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秋田 禎信
富士見書房
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著者:　秋田禎信、　イラスト： 草河遊也
初版:　1994年5月25日
種類: ファンタジー
5段階評価:　4・・・練られた世界観が心地よい


少年は慕っていた

天魔の魔女と呼ばれる最強の魔術士である姉・アザリーを

少年は尊敬していた

彼女の全てを

少年は願っていた

彼女の傍で役に立っていく未来を

彼女が異形の姿となり去ってしまってから、少年は名前を捨てて彼女を追った。

追いかけて追いかけて、5年の月日が流れ、そして少年は青年へと成長していた。彼女は見つからない。噂すら聞くことが出来ない。手がかりが掴めないまま、それでも追いかけて追いかけて…
 

「何でこんな事になったんだろうな…」
 

オーフェンは当面の生活のために、副業としてモグリの金貸しをしていた。金を借りているクセに返そ

うとしないために手を焼いていたのだが、どうやら返す工面があるらしい。それに付き合ったのが運の

尽きだった。
 

目の前には見知らぬ女性二人。
 

自分は正装姿。
 

やってる事は『結婚詐欺』だった。
 

しかし運命とは不思議な物、
彼はその屋敷で意外な人物と遭遇する。

 

当時、富士見ファンタジー文庫の人気の双璧のひとつであった作品。
アニメ化もしたが、アニメの方は原作ファンに総スカンをくらったのも悪い思い出です。ちなみに私もその一人。本当に酷いアニメだったな…何だよ蟹女って…。
 

何で今更に取り上げるのかと言うと、今秋に続編シリーズとして復活するからである。舞台は数年後、主人公はオーフェンとクリーオウの娘らしいですけどね。なので復習をかねて読んでみる。
 

さて物語だが、やはり世界観が練られており、魔術も一言で“魔術”と括らないで、
それ自体にも設定が非常に練られており感心すらしてしまう。
 

登場人物も非常に活き活きしてる。
 

私は、小説の登場人物は2種類に別けられると思っている。
ひとつは、作者から一人歩きしてる様な“存在”を感じられるもの。
ひとつは、作者が一生懸命に行数を稼ごうとして、登場人物が理不尽な行動や言動をして共感できないもの。
 

この作品は典型的な前者である。
読んでいて楽しくないはずがない。
 

ただ、この巻の時点ではシリーズにする予定はなく、後の続巻では違和感を感じると思います。主人公達の性格もそうですが、細かい設定とかもね。気にするほどでもないんですけどね…。
 

文章の書き方も上手なので、普段活字を読まない人もきっと読みやすいと思う。
ファンタジーの王道って感じで、冒険物が好きな人は絶対読むべき作品である。



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評論（書籍） ロミオの災難

ロミオの災難 (電撃文庫)

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来楽 零
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著者:　来楽零、　イラスト： さくや朔日
初版:　2008年1月25日
種類： ファンタジー/恋愛
5段階評価:　5・・・初めてラノベのキャラに恋をしてしまった、まいったな…

　如月行哉(きさらぎ ゆきや)が演劇部に入部したのには理由があった。シェイクスピアが好きと言うのももちろんあるが、演劇の裏方にも興味はあったが、何よりも雛田香奈美がそこに居るから。如月は彼女が好きだった。
 

告白も出来ないうちに日々を過ごす如月。

5人しか居ない演劇部だが、いよいよ文化祭公演のために舞台を発表することとなった。悩む中、突然に本棚が倒れ部員を襲い、落ちてきたのはシェイクスピアの「ロミオとジュリエット」。しかも偶然にも5人で行える台本だった。
 

不気味に思いながらも台本を使用することを決め、配役を決定した瞬間、
不気味な、そして不思議な感情が彼らを支配していく…。

綺麗にまとまっていて、少しも後を引かない素晴らしい作品でした。等身大の感情が、どこまでも少年少女を困惑して成長をさせていく。それが実にミステリアスで共感でき、そして泣けてしまう。
 

人を好きになったことのない少女が、初めて人を想う感情とはこんなにも胸キュンするものなんですね。死ぬかと思った。村上ももちろん可愛いのですが、やっぱり雛田香奈美が素晴らしい！
 

今まで人を好きになったことが無く、そしてこれからも好きになることはないと思っていたのに呪いによって生まれてしまった感情。くしゃみ一つに女の子らしさの研究したり、キスをねだったりと私のツボを16連射でした。
 

藍子はもう少し前面に出してあげたらもっと面白かったと思う。主人公をずっと好きだった想いが、予期せぬ形で知られてしまった。しかし、それは彼女を強くする切っ掛けになったのだから、あっさり身を引かずに頑張ってもらいたかったかな。
 

西園寺や先輩達も良い味をしていた。登場人物を不必要に多くさせないで、それぞれの持ち味をしっかりと引き出して丁寧に書かれてるのが印象的。会話もテンポが良く、笑える部分も多かった。
 

久しぶりに隙のない小説に出会いました。
 

マジお勧め！

評論（書籍） 瑠璃丸伝

 

著者:　松枝蔵人
初版:　1993年　6月10日　
種類：　超伝記（らしい）
５段階評価:　4・・・後半きちんとしてればな～
 

　自分の青春を駆け抜けた本です。中学の頃に表紙の絵が気に入り買って読んだらもの凄く面白く、夢中になったのを記憶しています。何回も何回も読み直したな～。その割には、あまり人気は無かったようですね～。不思議だ！

さて、ストーリー。主人公竜造寺翔子は普通の女子高生。しかし、好奇心旺盛なのが災いし、時代遅れの様々な流派の忍者達の集会を目撃してしまう。彼らは東京に集団で住み着くつもりらしい。その話を聞いてた翔子は忍者達に命を狙われ、殺されない代わりに忍者のひとり瑠璃丸と結婚する約束をしてしまう。

面白かったですね・・。斬新なアイデアだと思います。この本を思い出すたびに自分の中学時代を思い出す位に思い入れがあります。全６巻だったかな？おまけページも充実でした。

でも欠点もあります。自分の推測でしかありませんが、この作者はキャラを愛しすぎてしまっていたような気がします。理由は、敵だった人物がほとんど仲間になるからです。主人公達の忍者だけでも６人もいるのに、最後の方は敵側忍者も仲間になってしまい総勢１０人以上の仲間になってしまうのです。なので後半の巻はまとまってなかったですね～。人数が多すぎて作者が扱い切れてなかった感じが否めなかった。

ストーリーもまとまらなかったですね。いきなり話が変わり小難しくなって、最初は忍者の流派の対立な話だったのに、最後は「魔王が生き返る！？」なんて事になってます。しかも魔王を倒すのではなく、魔王を倒すために別大陸へ向かいエンディング。えらく中途半端だったのは拍子抜け（汗）きちんとまとまって終われば満点だっただけに惜しいです。

加筆
どうやら全7巻だったようですね。この瑠璃丸伝の作画を担当なさっていたいけださんのサイトを発見したのですが、この本の裏話（何故、ストーリーの趣向が途中で変わったか）などが分かり、面白かったです（笑）是非、行ってみて下さい♪