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涼宮ハルヒの動揺 (角川スニーカー文庫)
谷川 流
角川書店
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著者: 谷川流、 イラスト: いとうのいぢ
初版: 2005年4月1日
種類:   SF/ファンタジー
5段階評価: 3・・・おまけと伏線



今まで散々な目にあった出来事を語ってきた俺だが、
じゃあ出来事と出来事の間は平和だったのかと言われると真っ向から否定しよう。

涼宮ハルヒと言う存在と関わって平穏を望むなんて、
世界に平和を望むのと同じくらい無謀ってもんだぜ。

文化祭の合間だって、雪山事件の後だって、ハルヒがいない時だって、
俺の日常には何かが起き続けていたのだった。

ただ珍しいものも見られた。

誰かから頼りにされ、喜びを感じる。
そんな自分に動揺するハルヒを見たことは希少価値が高い。

それをあいつの成長と読んでいいのかは分からんがね


『ライブアライブ』  
文化祭当日、朝比奈さん主演の映画は視聴覚室にて絶賛放映中のことだろう。
何故、推測かと言うと俺はその場に居なかったからだ。

俺だって人並みに文化祭を堪能したいさ。
朝比奈さんのいるメイド喫茶に趣き、つまらない催し物を堪能する。
一時と言えどもハルヒを忘れることは精神負担の軽減に繋がるのだ。

だがどうしたってハルヒは俺の視界に入ってくるのは何でだ?

軽音部の演奏が始まった。
あいつは軽音部ではないはずだ。

だが、何故ハルヒがボーカルをしているんだ?

アニメで最も話題になった回である。
アニメが秀逸過ぎたんで結構つまんない回です(苦笑)

今までの事件と比較すると日常系に近いから退屈に感じるからかな。
ただハルヒの成長を垣間見るための貴重な話ではあるんですよね。

今まで自分が満足するためだけに行動していたハルヒが、誰かの為に行動して感謝される。そこから生まれる感情にただ戸惑う。確かに成長なんだと思います。

それはSOS団によるものなのかは分からない。
でも人との繋がりで得られる大切さってのは確かにあります。

今後、ハルヒがSOS団と何を得て行くのかを垣間見た気がします。


『朝比奈ミクルの冒険 Episode00』
彼女の名前は朝比奈ミクル。
普段はただの可愛い女子高生である。

だがその正体は、悪と戦う正義のヒロインなのである!
時にはウェイトレス姿で、時にはバニーガール姿で!

今日も彼女は街中を奔走する。

おまけのおまけ
文化祭でSOS団が作成した映画の内容である。

随所に入るキョンの冷静かつ的確な突っ込みは面白いけど、
本編とは完全に分離しているから物足りないかも?

ただ、アニメではそんな物語さえもうまく料理されている。
前評判を抜群に上げておいて、初回でこれを使うなんて改めて凄い。

是非、アニメを見ていただきたい。


『ヒトメボレLOVER』
俺の元同級生がいきなり電話をよこしてきた。
長々と捲し立ててるが、要はSOS団所属の女子に惚れているらしいのだが、
どうやら相手は何と長門有希。これは入口にすら届かない狭き門である。

そもそも開かないしな。

「会ってみてもいい。気になる。」

………なんということだろうか。

長門がSOS団意外と積極的に接しようとしている。
いったい何が起きたのか…団員全員がしばらく唖然としてしまった。

ハルヒ、ミクルと来たんで次は長門ですか。
事件を楽しむよりは会話を楽しむ回だと思う。

中河くんの未来妄想な発言は正直笑えるし、
それに突っ込むキョンの心情も笑える。

これぞ漫談って感じですかね。

軸である恋物語は、結局は本物の恋ではなかったけど意味のあるものだったんじゃないだろうか。長門はまた人としての成長を遂げたのではないかと思います。

全体的に儚い感じも漂わせる不思議な物語。
私は好きです。


『猫はどこに行った?』
「雪山症候群」…それは俺たちが奇妙な洋館に迷い込んだ出来事である。
本来なら小泉が主催する推理ゲームが行われる予定だったのだが、
無事に戻ってこれたのなら中止する理由もない。

それがSOS団であり、涼宮ハルヒなのである。
ま、別にいいけどな。

俺がした協力と言ったら飼い猫のシャミセンを連れてきたくらいだ。
取るに足らない労力さ。後はお前が無難にハルヒを満足させてやってくれ。

ハルヒ、ミクル、長門の次は小泉です。
これまた閑話休題な物語で前巻に回収出来なかった風呂敷を畳んでるイメージですな。

「雪山症候群」は非常に練られた物語に対して、
こっちは実に高校生が作った舞台って感じ。

これはこれで面白いです。

涼宮ハルヒが絡んでない、平和な日常系って実は今まで無かった気がします。
それが、この巻にきて沢山垣間見ることが出来て満足ですよ。

ちなみに推理物としては非常に簡単なので犯人は直ぐに分かると思われます。
雰囲気や会話の掛け合いを楽しむのがベストでしょう。


『朝比奈みくるの憂鬱』
ハルヒが掃除当番である本日。
どうやら小泉も長門も不在であり、部室には俺と朝比奈さんしか居なかった。

そんな至福なひと時を堪能しようとした矢先、
朝比奈さんが意を決した顔と口調で話しかけてきた。

「今度の日曜日、ヒマですか?一緒に行ってほしいところがあるの」

「もちろんヒマです。」

即答である。

例え、どんな理由であっても無意味であり、
例え、どんな用事があっても白紙に変わる。

それは断る理由のない決定事項なのだ。

番外編が続き、そしてこれも番外編。
だけど、どこか伏線を感じさせる物語です。
また、朝比奈ミクルの立ち位置を確認するための重要な物語でもあります。

普段はマスコット的な役目であり、物語においても可愛さをふりまくドジっ子なだけ。
ですが今回で改めて未来人であり、キーパーソンであることを再確認させられました。

ミクルが助けた少年の意味は果たして明かされるんでしょうか。
何だか物語が大きく動きそうな気配がしてワクワクします。

実際の動きとしてはキョンとミクルが買物して少年を助けただけなのに、何故か壮大な物を感じてしまう。本当に見せ方が上手だなぁ…て純粋に感心してしまいました。

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