評論（書籍） 我が心求めよ悪魔―魔術士オーフェンはぐれ旅

我が心求めよ悪魔―魔術士オーフェンはぐれ旅 (富士見ファンタジア文庫)

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秋田 禎信
富士見書房
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著者:　秋田禎信、　イラスト： 草河遊也
初版:　1999年10月25日
種類:    ファンタジー
5段階評価:　4・・・起承転結の「転」


ロッテーシャに重傷を負わせた男・エド
その男は、かつてオーフェンと共に魔術を学んだコルゴンだった。

コルゴンを追うオーフェン達はロッテーシャと共に東部最大の都市アーランバマへ向かうのだが、何か思惑のあるロッテーシャが姿を消してしまい、マジクの行方も消え、クリーオウが廃人の様になってしまった。

「レキの奴がいないんだ。なぜいない！？」

既にオーフェンの思考を超えた出来事が立て続いている。
だが、事態は待ちはしない。

レッド・ドラゴン

教祖たちの刺客

ライアン

そして、コルゴン……

複雑に広がるそれぞれに意志が、
オーフェンを中心に静かに動き出す。


クライマックスへ1直線の第14弾です。

今まで伏線を散りばめてきてました。
この巻では、その風呂敷を広げ始めてるイメージかな？

もう、とにかく読んでて面白い。
先が気になって仕方がない。

だけど腹立たしくなる巻ではあるんで、
そこがファンには不評だったりする。

その筆頭がロッテーシャである(苦笑)
なんていうか…ここまで自分勝手なキャラは、この作品では珍しいと思う。オーフェンを巻き込む人物には今まで“自覚”ってものは少なからずあったけど、ロッテ ーシャの場合は“無自覚”だから苛つくんだよね。

クリーオウも何時もと違った感じになってるからファンには辛い。

ただ、とりあえず敵側が魅力的。
最強種族と言われる割にやけに人間的なドラゴン種族、
死なない体の男・ライアン、
領主様と呼ばれる物の刺客たち、
そしてコルゴン、

クライマックスに向けて確実に進んでる感じがします。しますって言うか再読なんで知っ てますがね……ああ、早く新シリーズが読みたい！



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評論（書籍） 我が運命導け魔剣―魔術士オーフェンはぐれ旅

我が運命(さだめ)導け魔剣 (富士見ファンタジア文庫―魔術士オーフェンはぐれ旅)

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秋田 禎信
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著者:　秋田禎信、　イラスト： 草河遊也
初版:　1999年4月25日
種類:  ファンタジー
5段階評価:　4・・・新章へと繋がる序章


花の都・ナッシュウォーター
前回の騒ぎの後、オーフェンらはここに滞在していた。

既に2週間、
クリーオウはともかく、マジクは露骨に退屈している様だった。

「でもなぁ」

アザリーがどこにいるのか分かるわけでもなし。
正直、次にどこへ行くか決めかねていた。

もう少し滞在するか、王都へ近づくか。

しかし悩みは直ぐに無用となるのだった。
クリーオウが都を2分する剣術道場の抗争に巻き込まれる。

気になったのは片方の筆頭である男。

「まさかな…」

見かけた姿は、よく知るかつてのクラスメイトの……


前回の番外編を経て新章がいよいよ動き出す。
今まで名前は出てきていたけど登場していなかったレッドドラゴン種族やらなにやら。
とにかく胸を熱くする展開の序章です。

そう、序章なのだ。

今までと違い1巻に一人のヒロインとかの登場人物はいなくて、
今巻の人物は全員が重要な何かを抱いている。なので今後も最後まで活躍する。

これが自分的には良かったり悪かったり……。
毎回、魅力的な人が出てきた1部が好きだったんですよね。

まあ繋がってるひとつの長編も好きですが、
設定大好き作者の作品って長編だと一読じゃ理解しきれなかったりするんですよ。

今回再読して随分と台詞回しに伏線があったのは分かったけど、みんながフリークダイヤモンドに固執してたのはやっぱりいまいち分からなかった。天人遺産だったら他にも多くある。なのに、あえてそれをレッド・ドラゴンやらコルゴンやらが遠回しに狙ってるのはなんなんだろうね。

さて、第1部ではマジクの成長で、第2部はクリーオウの葛藤である。

17歳の少女にしては人間離れした動きをみせるクリーオウも、オーフェンの生きる世界で見たら弱い人間の一人に変わらない。そんな一見を見た気がします。今までは結局レキの力で繋いできただけで、魔術士やドラゴン種族と同等にやれるわけじゃない。そんな弱さが今巻の後半に現れ、第2部の鬱展開へと繋がるんだよなぁ…。

とにかく後半に入ってからの伏線の散りばめ方が半端ないです。

今巻は中盤まで物足りないのに次巻への楽しみが半端なくて、
結局読了後は妙な満足感で満たされてしまいます。ずるい（笑）

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魔術士オーフェンはぐれ旅 黒の聖域―草河遊也画集 (ドラゴンマガジンスペシャル)

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草河 遊也
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評論（書籍） 我が夢に沈め楽園(上)(下)―魔術士オーフェンはぐれ旅

我が夢に沈め楽園 (上) (富士見ファンタジア文庫―魔術士オーフェンはぐれ旅)

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秋田 禎信
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著者:　秋田禎信、　イラスト： 草河遊也
初版:　1998年4月25日(上)/10月25日(下)
種類:  ファンタジー
5段階評価:　5・・・久しぶりな脇道運転


「冷たいこの山に埋めてはいけない」
　あなたの亡骸を埋めてはいけない」

大陸東部に位置する温泉街。
エリス・ショスキーは静かに嘆息した。

ああ、苛立たしい。

自分の緩慢な動きも
気にしている鎖骨も
この自分が生まれ育った温泉街も

今日は久しぶりにお客が来る

でも、どうせ大して金を持ってないに決まってる
お金のある客はみんなロッツの方にいっちゃうのよ

苛立たしく鼻から息を抜いて、エリスはかぶりを振った。

「金を持った客など来ない。来るはずがない」
　温泉のない温泉宿などに」


本当に久しぶりに本編にての脇道物語です。
前後で別れていて前編は“笑”が中心。後半がかなりシリアス。

これぞ秋田作品の真骨頂ですな。

主人公三人の掛け合いがコミカルで個性が出てて、登場人物全員がユーモアにぶっとんでて、そして最終的には全員が一人の闇に巻き込まれてしまうのだ。まさか前巻であんなに笑いをくれた登場人物が、後編では死んだり殺したりでシリーズ中最も衝撃を受けた作品だった。

得体の知れない生物の登場で一気に加速させ、
気が付いたら何か分からない状態の核心に置かれてしまう。

正直、鳥肌が立つくらいの面白さだった。

でも、この絶妙なバランスってこの巻までなんだよね。
ここからクリーオウは怒濤の鬱病に急降下。

どんどん話しも小難しくなって読んでて辛かったのである。
数年経って、今は違った視点で読むことが出来るんでしょうかね。

とりあえず大分忘れてるんで、
新鮮な気持ちで再読してみようと思います。


ちなみに今巻ヒロイン・エリスは当時から大分惚れ込んだものですが、
久方ぶりに読んで、やっぱり惚れ直しました。

見た目ももちろんのこと、
アンニュイな雰囲気でもって時々見せる笑顔や素晴らしい。
まさに王道的ヒロンであった。


「時は……終わる。いつだって終わってる。
　終わらせて、変えていかなくちゃならない！」


最後に彼女が発した言葉は当時人生の壁にぶち当たっていた私の心を溶かしていた。
そして今、社会人になり沢山の確執に不安を募らせ明け暮れる私の心を虜にした。

なんてこった
私は同じ人に2度
恋をしてしまったんだ

結果として読了後に、
彼女の登場する2次小説を探すことを余儀なくされたのだった


いや、無かったけどね…… ＿|￣|○

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我が神に弓ひけ背約者〈下〉―魔術士オーフェンはぐれ旅 (富士見ファンタジア文庫)

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秋田 禎信
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著者:　秋田禎信、　イラスト： 草河遊也
初版:　1997年10月25日
種類:  ファンタジー
5段階評価:　4・・・もう少し“愛”が欲しかったね


追いかけて追いかけて

5年の月日が流れ

彼女を追い続けて、少年は青年へと成長していた

目の前には追い求めたアザリーが立っていた。
大きく変わった自分に対し、5年前と少しも変わらない姉が


追いかけて追いかけて

「結局のところ俺は、このためにここに来たんだ……」

オーフェンの決意と、アザリーの目的がようやく交差する。
それによって迎える結末は？

第一部・西部編、遂に終幕！


全てを取り戻したかったオーフェンと、
全てを変えたかったアザリー。

お互いがお互いを必要として依存してるのは確かなんだけどね、
なぜか相容れない二人

「あなたには、もう、私は・・・必要ない・・・？」

このアザリーのセリフにはドキっとさせられた。
普通の生活を望めば手に入ったのに敢えて壊して選んだ道は、果たして正しかったのか？
“知る”ことで犠牲にしたものは、あまりに大きかった。

あらためて西部編のヒロインってアザリーだったと認識させられます。
そのせいか、前半大活躍してたクリーオウの影が薄いのが不満っちゃ不満(苦笑)

そして秋田先生は恋愛描写を好んで書かないのが残念なのである。
最終巻なんだから、どっちかのヒロインと何かしらあるものかと学生時代の時は思ったものです。

新シリーズでは結婚して子供までいるオーフェンとクリーオウですが、
その件とかは絶対描写されないんでしょうね。その点は漫画界の大御所・鳥山明と通じるものがある。

ちなみにサルアも好きな人物なので、
新シリーズではオーフェン一家の近所に住んでるって設定は嬉しいですね。早く読みたいです！

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著者:　秋田禎信、　イラスト： 草河遊也
初版:　1997年6月25日
種類:  ファンタジー
5段階評価:　4・・・設定厨には堪らない


ネイムとの戦いはオーフェンにトラウマを与えた。

そのトラウマはオーフェンに魔術の使用を不可能とさせ、
今後の決戦に大きな支障をもたらす。だけど時間も敵も待っていてくれる程に甘い物じゃない。

いったいここには何が隠されているのか。
アザリーは何を求めてここに向かっているのだろうか。

オーフェンは未だ自分の行動の真意を掴めないでいた。

「彼女に追いついたところで、どうしたいのか。なにか言いたいことでもあるのか。
  俺にはさっぱり分からない。彼女を助けたいのか。彼女の邪魔がしたいのか。それとも―」

「そんなの、決まってるじゃないですか」

朗らかに、マジクが言ってくる。

「姉弟なんでしょう？お師様、その人と仲良くしたいんですよ、要するに」

「仲良く、ねえ」

その単語は複雑だった。
そしてある意味、特別でもある。


第一部クライマックス前編です(分かりづらい；汗)
クリーオウが意識の無いまま歩き出したり、マジクは反抗期だったり、道には迷ったり、物語のネタは尽きません。ここにきて様々なトラブルが発生する辺りは、まさにクライマックス。

主人公達の視覚的心理描写が上手いんで、
まるで自分もその場所に居るような錯覚が起きる。
本当にそんんな気がするのだ。

登場人物の心理も着目すべき点だと思う。
主人公達には、それぞれの考えや主張がある。何をしたいかは決めていないが、ただ姉に会うため。よくは分からないけど師匠の様につよくなりたい。強い人の隣に立てる対等の人物になりたい。そのそれぞれは大したことはなかったりする。でもその想い自体はとても強かったりする。

だから、ふらふらと流れるまま来てしまった旅が気が付いたら芯の強い物語を作り出すのだ。

難点は設定の複雑さ。著者はファンの間でも中毒と言われる程の設定大好き人間。歴史までしっかり作り込み、それが今巻でもがっつり活用されてるんだけど、まあ分かりづらい(失笑)

重要単語を抜き出したとする。

・ ドラゴン種族

・ 人間種族

・ 人間種族の始祖魔術士ラモニロック

・ 天人種族

・ 天人種族の始祖魔術士オーリオウル

・ その使い魔イスターシバ

・ イスターシバの門弟XX


凄く大きくわけてもこれだけあって、
さらに後日談の新シリーズでは伏線からの風呂敷が大きく広がって何が何やら…(冷汗)

とりあえず今巻のラスボスっぽい人形・ラモニロックは魔術士を根絶やしにしようとしていた人間種族の始祖魔術士だけど、実はその意識を受け付けられていただけってことが新章で明らかになっている。凄いぞ！読者の大半がついていけないぞ！

さあ次巻は1部クライマックス！
頭フル回転で挑みましょう！

 

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初版:　1997年1月25日
種類:  ファンタジー
5段階評価:　3・・・第1部クライマックスへの繋ぎの巻です


アザリーは言った。
教会総本山(キムラック)に来るようにと…。

そこで彼女の行動の全てが分かる。
そこで師であるチャイルドマンの何かが分かる。

彼女が示した大陸北部に属する都市。
住む人間は例外無くキムラック教徒である。
つまり魔術士を退廃的に嫌う人々が住む都市なのだ。

オーフェンは魔術士の天敵である死の教師・メッチェンの手引きにより潜入を試みる。


クライマックスへの舞台へ潜入ってことで、なかなかの緊張感があって良い。でもシリーズ中では普通の方かなぁ？いや面白いんだけどね。もともと水準が高い作品なだけに評価が厳しくなってしまうのです(笑)

今巻では特にマジクに注目です。
師に憧れて学んだはずの魔術。誰かに認められてこその“力”なのに自分自身で認め始めてしまう。いつの間にか力に溺れ自分を過信してしまう。この辺りは幼少時代のオーフェンと重なる部分でもあり、オーフェン自身も杞憂してるんです。

最後のマジクのセリフには思わず今後を期待せざるえない。

ただ、不満がある。
ネタバレになってしまうが…後半の展開…

これってオーフェンが人を殺めたことになるか！？
結局、ネイムは自爆でしょ？

服薬による副作用で死んだのに、突然「あなたは私を殺したのだから」宣言。
それに戸惑い叫ぶオーフェン。

学生の頃に読んだときも違和感を覚えたけど、
今回再読してもやっぱり違和感を感じた。

その結果として今後の流れに少し付いていけないんだよね(汗)

それに相変わらず説明が多いので読み切るのは大変ですが、
ファンなら頑張りましょう(笑)

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