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文藝春秋
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物理学者が事件を解決する犯罪小説を「実験」したような印象です
これも仮説の検定なのか
科学小説?
いつもの東野作品とは少し趣が違うけど…。
刑事・草薙俊平は頭を抱えていた。
最近の犯罪トリックの難解さにだ。
時代は進み、文明も発達してきたのだ。普通の一般市民が、昔では考えられなかった物を所有している。そしてそれを駆使して犯罪を起こしている。
そして今もそうだ。これは何を使っているだ?どうすればこうなるのだ?動機があっても証拠が無い。とにかく頭が痛かった…。
そんな時、草薙はある大学の研究室を訪れている。こんなことは彼に聞くのが一番だ。若くして物理学者として助教授をしている彼に。
彼の名前は湯川学と言う。彼は実に偏屈な性格をしているが、どこか馬が合う。
今回も薄汚れたカップでインスタントコーヒーを出し、自分には理解できない用語を駆使して説明するに違いない。しかし、そんな少しの苦痛はあるが、彼の洞察力は確かな物だった。今回はどんな解明を見せてくれるのだろうか。
まずは湯川の興味を引き出さなければならない。
草薙は言葉を選び考えながら研究室の扉を開けた。
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ドラマにもなった有名な作品です。私はドラマから入ったんで、その視点での感想になります。
さて、まずドラマでは湯川が全面に出てきて、まるで主人公の様になってますが原作では違います。主人公はあくまで草薙刑事、そして被害者と加害者であり、湯川はアドバイザーとして登場しています。さらに湯川の「実に面白い」などの決め台詞は原作にはありません。そもそも相方となる草薙はドラマだと女性ですが、原作は同年代の男性です。
読んでみて、つくづく大衆受けに変えられた作品だったんだなぁっと思いました。原作の人気は確かにありました。その原作が好きだった人にとって、色物に変えられた作品ってどうなんだろ?でも、きちんとした俳優さん達だったし悪くはなかったと思う。
過去に私の好きな作品がドラマ化した時は、お笑い芸人やら女性タレントやらジャニーズアイドルやらで、めちゃくちゃになってて悲しかった記憶があるが、これは原作ファンでも許せると思う。多分。
内容は濃密にしてテンポ良く進みます。
作者である東野圭吾が理系出身であり、「自分が好きなようにマニアックな作品を書いた」と語っているように、実に複雑であり理解できれば単純なトリックが満載で面白いです。
短編で5つの物語が収録されてて、時間が空いたときに軽く読むのに最適です。今回は加害者に同情の余地がない物語が多いけど、その内、被害者を許せなくなる事件が起こったりするのだろうか。そんな時、湯川がどんな動きを見せるのか。そんな想像すら楽しみになる作品。
久しぶりに推理小説を楽しく読むことでき、満足しました。
お勧めです!
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