評論（書籍） 白い鬼―剣客商売五

剣客商売〈5〉白い鬼 (新潮文庫)

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池波 正太郎
新潮社
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著者:　池波正太郎 
初版:　2002年11月15日　
種類:　群像時代劇
5段階評価:　4・・・今のは可愛かった･･･。可愛かったぞー！


いよいよ気になる二人がメインに移り始める第五幕です。
小兵衛も好きなんですけどね。完成形として成り立ってる小兵衛よりも、まだまだ心が成長過程な大治郎と三冬が奮闘する様が何と行ってもそそられるんです。ひとつの物語で確実に、でもゆっくりと前進するために気になるし後を引く。確実に世界観に入り込む要因になってるんです。

とりあえず気に入った物語の感想。

『西村屋お小夜』
ふとした道端にて男女の営みを見てしまった佐々木三冬。
その行為自体に驚きもしたが、気になるのは行為をしていた男女の二人。

三冬は二人を知っていた。
思考を巡らすも、あの二人の行為が脳裏を離れない。

（はしたないことを…）

と、眉をひそめるも

（大治郎殿も、妻となる人に、あのようなまねをなさるのか…？）

何故か思考を過ぎるのは大治郎だった。
そして、二人を目撃した夜に、三冬は何者かに襲撃されるのだった。


それにしても素晴らしきは佐々木三冬ですよ！
相談相手も小兵衛から大治郎へと代わり、ますます異性への意識が加速する。

寝不足の顔を大治郎に見られたくないと思う健気さ。

20歳にして恋をして、それを自覚しないなんて…
まさに思春期をこじらせた女はかくも美しいものかと。

事件は結局はたいしたことなくて印象には残りにくいですが、
三冬がとにかく可愛くてびっくりだ。

『雨避け小兵衛』
秋山小兵衛は亀戸天神への参詣を済ませた帰りだった。
突然、雨に降られたために避難した小屋の中で事件に巻き込まれる。

小屋の中に駆け込んできた男は関山虎次郎。
かつて小兵衛が正式な試合にて打ち負かした男である。

小兵衛には思うところがあった。
彼との試合は勝ちには勝ったが、別に負けてもいい試合だった。

だが、小兵衛は勝った。剣士として楽しんでいた若い時期で、小兵衛には世間の生き方よりも勝敗を大事にした。結果、負けた関山虎次郎は人生を堕落していったと聞いた。

（さて、どうしたらよいものか…？）

悩むのは、彼が女の子を連れ立っており、
これは人さらいの様だからだ。

自分のせいで人生を落ちてしまった彼を救いたい気持ちはある。
しかし、これは許せる行為ではない。

小兵衛の思考は、どんな解決策を導き出すのか…。


物語としては短く小兵衛の行動範囲も狭いのだが、とても心に響く物語です。
自分の行動が誰かの人生を左右してしまう。そんなことは結構あると思う。それが、この時代なら尚のこと。その中で、自分の判断によって人を不幸にしてしまったことによる葛藤は、苦しい物だと思う。

出来事から数十年経っても消える事のない後悔。歳を取るにつれて増えていく好奇心と正義感によって気づき始めた世間の成り立ち。それは何時の時代でも変わらないのかもしれませんね。

『三冬の縁談』
佐々木三冬に縁談の話が持ち込まれる。
これは以前にも続けられる事だったが、今回ばかりは勝手が違うようだ。

三冬が婚約の相手として突きつけた条件は
「試合をして、自分に勝った場合のみ」

このことを三冬本人の口から聞かされた秋山大治郎は青ざめる。
聞かされた名前は大治郎も知ってる男で、とても三冬では敵わぬ相手である。

さて大治郎の心の中のざわめく物は…果たして？


まこと三冬は魔性の女よ。
何時の間に、たった数話で天然な魅力を身につけたのか！

「三冬三日合わずば刮目して見よ」ですよ！

大治郎も大治郎で、いい年齢をして初めて生まれた感情に戸惑う姿に可愛らしさを覚えてしまう。
思春期をこじらせた者同士ってのは良いシチューエーションですな。

ただ最後の展開は少し不満を感じる。
結局は小兵衛だもんなー。おいし過ぎるよ。

せっかく三冬と大治郎に大きなスポットが当たってるだけに残念でした。
出来れば二人で、もしくは大治郎自身の解決を見たかったところです。


さて、本巻自体の感想だが、
息子・大治郎がメインとなる物語が多くなり話全体が膨らんで楽しかった。

まさに二世代に渡る大きな世界観があるのだ。
これから先の展開が楽しみです。

また、あとがきで常磐氏が語るように、
本当に食べ物の描写がウマいですね。

空腹時に読んでると本当にお腹が鳴ります(笑)


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（日記） 起きる可能性が少しでもあるから、だから奇跡って言うんだ

いやー３万ヒットですね……

昔のサイトを運営していたときは「目指せ記事200！」とか言ってたけど、
とっくに越えてたんですね（汗）

次は書籍のみの記事を100行きたいところですが、
読んだけど記事に出来ていない作品をアップすれば行きそうなんですけねー。

それにしても多忙である。
毎日毎日、恐ろしい量の仕事なのだ。

頑張って排出しても直ぐに舞い込んでくる。
残業をいくらしても足りない。

こんな事を言うと以前のサイトで批判されたように
「お前の能力が足りないだけなんじゃないの？」
とか言われそうですが、もう物理的に無理って感じ。

時間が足りない。

圧倒的に足りない。

強制帰宅を命じられても「まだ居たい」と叫びたい。
帰りたくない。会社に居たい。家に帰っても仕事が心残りになってしまう。

初めて会社が恋しいと感じてしまった…参ったな（リアルに）
 

評論（映画） ジャッカル

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製作    : 1998年度作品/アメリカ映画
ジャンル: アクション
5段階評価: 3・・・悪役のブルースが神すぎる


弟をロシアとアメリカの合同捜査チームに射殺されたマフィアのボス・テレク。彼は報復として、裏社会では誰もが知る暗殺者・ジャッカルに、ある要人を暗殺することを依頼する。

一方、ジャッカルの動向をいち早く察知した合同捜査チームはジャッカルの捕縛に全力を尽くす事になる。FBI副長官プレストンとMVDコスロヴァ少佐は、まず刑務所に収監中の元IRA幹部のデクラン・マルクィーンに協力を求める。


リチャード・ギア、ブルース・ウィリスの2大スター競演
感想サイトを巡回してみたんですけど、意外と映画通には不評なんですね…私は結構気に入ったんだけどなー。元々が昔の名作のリメイクだし、役者の演技も目が肥えた人には酷いらしいです。

物語中ではほとんど言葉を発しないジャッカル。
しかし、その存在感は凄いと思いました。

表情が豊かで無いため、何をするのか分からない。
目的の為なら非情に行動する。

敵ながら少し格好良く感じました。
ただ、「暗殺者」としては疑問ですけどね。

行動ひとつひとつが逐一目立ちすぎてる。
本当に暗殺のプロかと疑いたくなる。

そして主人公側は「なあなあ」感が少し煙たかった。
まさにアメリカ映画のストーリーです。

難しい事は考えずに

「悪い奴を倒す正義の味方」

これを堪能すれば良いんだと思います。

評論（書籍） 機巧少女は傷つかない 〈3〉

機巧少女は傷つかない３　Facing "Elf Speeder" (MF文庫J)

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海冬 レイジ
メディアファクトリー
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著者:　海冬レイジ　イラスト： るろお
初版:　2010年7月1日
種類:  学園ファンタジー/バトルアクション
5段階評価:　5・・・何故ならアンリもまた、特別な存在だからです


『貴方って、本当にビッグベン級のバカ！』

シャルを怒らせ、そして涙を見たのが10日前。
雷真はそれから彼女を見ていない。

ひょっとして怒らせたかもしれない。

（それはまずいな…ん？）

入院している病室の窓から見える人物。
シャルに似ているようで、やっぱり違う少女が佇んでいる。

アンリエット・ブリュー

シャルの妹であり、何かに怯え、
すぐに自殺を図ることで知られているらしい。

アンリが現れ、程なくして学園に事件が起こる。
学園のシンボル・時計塔が破壊されてしまったのだ。

周囲から挙がる犯人の名はシャル
自分が目撃した少女の名前はシャル

アンリには何かあるはずだ！

シャルが消えた理由も！
シャルが起こした不可解な騒動も！

「アテにしてるぜ、勝利の女神」

「おともします雷真。
　雷真が行くところ、他の女のベッドの中でも」

物語第3幕も賑やかに幕を開ける！！


相変わらず期待を裏切らない一冊。
とにかく面白い。

前回登場したフレイとロキがレギュラー化しているが、決して無理な登場にはなっていない。
今回の物語のは不可欠な存在になっているし、疾走感を増す手助けにすらなっているのだ。

それは今回のヒロイン・アンリにも言えることです。

彼女の立ち位置が雷真と重なることで、雷真が拘る理由にもなる。
次第に雷真の過去の秘密が自然に露呈する結果となっているんですよ。
登場人物全員が無駄ではないのである。

それと個人的には無駄な解説が少ない点が大合格となってます。

ライトノベルって(一般文庫にも当てはまりますが)、
やけに説明文が多くてウンザリな作品が多いんですよね。

扱ってる武器、今居る建物の構造や部屋の配置、人物に対する細かい観察文。
正直「行数を稼いでるだろ」っと思えてしまう程の無駄な文章。

それがこの作品には無いのだ。
その上でテンポ良い会話が多くて実に心地よい文章体になっている。

だから読んだ後の心地よさが半端ないんです！
それに登場している女性キャラが本当に可愛い。間違った方向に積極的になる愛情表現も、それに疲弊してしまってる雷真との関係もニヤニヤ物です！新しく女性が登場すると、その愛くるしい姿とクセのある性格で、一体どういう風にアピールしてくるのかと思うと、もう感謝！圧倒的感謝！ (カイジ)

それにしても気になるのは今回の事件の首謀者・アリスのセリフ

「僕が何のために八七位なんてしょっぱい順位につけたと思うんだい？」

前回のロキといい、上位の生徒は自分の順位を自由に付けられるのだろうか？
しかし、だとすると下位の生徒が無意味に上がってしまうし…うーん？

まだまだ物語は序章にしか過ぎない。
とりあえず次巻を楽しみにするとします。

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評論（書籍） 我が塔に来たれ後継者―魔術士オーフェンはぐれ旅

我が塔に来たれ後継者―魔術士オーフェンはぐれ旅 (富士見ファンタジア文庫)

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秋田 禎信
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著者:　秋田禎信、　イラスト： 草河遊也
初版:　1996年4月25日
種類:  ファンタジー
5段階評価:　5・・・この辺りがピークだったなー…


「あんたが俺を理解なんてしているものか
　人を理解する女が、人を殺すかよ！」

再度オーフェンの前に現れたアザリー
彼女は一冊の本を探していた。世界の秘密が記されている書物。

それは塔のウオール教室も狙っており、それは塔の内紛へと発展していた。
アザリーが、ウオール教室が狙ってる書物。

『ブラウニング家の世界書』

ノルニルが、先人達が自ずと気づいてもらいたかったことの全て…。
たった一冊の本のために多くの人間が死んでいった本。

オーフェン自身は興味が無い。
だがアザリーの意志により、彼らは渦中に埋もれていく。


戦闘シーン豊富な第6巻！

そして改めて人物関係のおさらいと魔術の定義の説明。
今まで、この作中では“天才”が数多く登場しましたからね。オーフェンをはじめ、アザリー、チャイルドマン、そして同教室の面々。正直、最強の定義が曖昧になりつつあったんだと思います。

黒魔術で最強のチャイルドマン？

白魔術も使う天才魔術士アザリー？

もはや何がなにやらであったのは確かである。
登場人物も、ここ数巻で一気に増えたので嬉しい配慮である。

ティッシが意外にも弱く感じされるのも素晴らしい演出。
模擬戦ではトップクラスの彼女ですが、あくまで“模擬戦”での話しなんだよね。

つまりチャイルドマン教室の生徒は必ずしも優秀ではなかったことを示唆してる。
うーん、深い！

心情の語らいもおもしろかった。
何故、クリーオウが付いてくるのか分からないオーフェン。
退屈な日常に対して、何かを分からず期待したクリーオウ。

この時までは確かに「何だか分からないけど“強い人”と対等になりたい」って意識だったんですよね。将来、オーフェンの子供を産むほどの関係になった経緯は端折らずに出してもらいところですが…。まずは本シリーズを読んで続編に入りたいと思います。

んで、ちょっと納得できない都合主義な部分。
いくらなんでもウオール・カーレン教室のプロの暗殺者にクリーオウが勝利しちゃうのは無理があるのではなかろうか？普段は仲間に頼らないオーフェンが初めて頼って、しかも分断されて、それぞれ違う敵を相手にする。ここまでは熱い展開で、まさに少年誌って感じなんですけどね。

でも、まさかレキ無しで勝つとは思わなかった（汗）
るろうに剣心で弥彦(10歳)が達人に勝利した時位に「はぁ？」ってなったのを思い出しました。

まあ、後日に彼女も才能ある一人だったと納得出来る予定ではあるみたいです。
早く魔王と呼ばれるオーフェンを見たいものである。


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評論（ドラマ） 勇者ヨシヒコと魔王の城

勇者ヨシヒコと魔王の城　DVD-BOX（5枚組）【初回限定生産版】

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主な主演:　
山田孝之、宅麻伸、木南晴夏、ムロツヨシ、岡本あずさ、佐藤二朗、中尾隆聖(声による出演）

放映期間：　2011年7月8日～9月23日
ジャンル：　コメディ
主題歌  ：　エボ★レボリューション（mihimaru GT）
5段階評価：　5・・・こういうので良いんだよ！こういうので！


「非常識だから、冒険なんだよ。」

普通の村人だったヨシヒコは突然『いざないの剣』に選ばれた者として勇者とされてしまった。
まずは疫病で苦しむ村人のために、薬草と、行方の分からなくなった父親を捜すために旅立った。

途中で出会ったダンジョー、ムラサキ、メレブと共に旅をする中、
疫病の原因は魔王にあることが判明する。

かくして、勇者ヨシヒコの不可思議で理不尽な冒険が始まる！


いやー本当に面白かった！
ガチで毎回毎回見るのが楽しみになった作品は久しぶりである。

随所に散りばめられたネタの宝庫！
きちんとスクエニに許可を取ってやっただけあってニヤリとする場面が多かった。

実写ならではのネタが多くて楽しかったなー。

特に他人の家に勝手に入ってタンスの物色、壺の破壊とかはマジ吹きましたww
ドラクエ以外のネタも豊富で、私はAKBネタの回が神だと思ってます。

「渡り廊下で魔物倒し隊」
ってネーミングもさることながら、本気で勇者を辞めてアイドルを目指すも総選挙で落選。
急いでダーマ神社に行って勇者に戻ろうとする件で、久しぶりにドラマで声を出して笑ってしまった。

役者が良いんでしょうね。
くだらない描写もとてもシュールで笑いを誘うんです。

予算も低予算なりに工夫をし、きちんと振り分けてるんでしょうね。
最終回のCGに8割は使ってるんじゃなかろうか（笑）

無駄が無い。
無理な部分も笑いへ繋がってしまう。

つまりパーフェクトだった。

偶然目について見始めたドラマ。
今ではそんな自分を褒めたいです！