評論（書籍） 最後の夏に見上げた空は <3>

最後の夏に見上げた空は〈3〉 (電撃文庫)

posted with amazlet at 11.01.26

住本 優
メディアワークス
売り上げランキング: 461009
 

Amazon.co.jp で詳細を見る

著者:　住本優、　イラスト： おおきぼん太
初版:　2005年8月25日
種類： ファンタジー/恋愛
5段階評価:　3・・・もっとコンパクトにいこう（苦笑）

 

確かに、恋をしていた。
 

容赦なく流れていく限られた時の中で、
容赦なく回る世界の片隅で、

大きな歴史からみればとるにたらないような恋を、

それでも
 

精一杯の、恋をしていた。

シリーズ最終巻。

まさか悲哀エンドとは思わなかったよ（汗）
ここまで引っ張ったんだから、しつこい位に説明しまくったんだから、何かあるかと思いました。まあ、いきなり元気になるのも何ですが…（汗）
 

それにしても超展開でした。丁寧に、ひたすら丁寧に進んできた作品だったので、最後も丁寧に優しく行くのかと思いましたけど、決してそんな流れではないんですね。だとしたら、今までの余談話は何だったのだろうと疑問に思ってしまう。
 

感動はしましたよ。特に最後の瞬間は本当に泣きそうになりましたし、読んだ後に余韻に浸ることが出来ました。今まで丁寧すぎる位に描かれてきた二人の物語が淡く終わりに向かっていく描写はずっと読んできた人には辛く悲しいです。
 

不器用で優しすぎる二人には、こんな結末が似合っているのかもしれない。だけど胸が締め付けられるのは、やっぱり最後は優しい終わり方を望んでいたからです。
 

覚悟はしていましたが、実際には読んでて辛かった。
しかし、名門をはじめ全てが優しく、そして前向きに成長する様は嬉しかったです。
 

悪かった点。
 

これは著者には非はないけど本当に誤字脱字が酷い！何だこれ？編集者はちゃんとチェックしてるのか？例えばだ、テレビでドラマを見ていたとして凄く感情移入して見ていたとしよう。凄く良い場面で主人公が噛み噛みだったら絶対興ざめするでしょ？まさにそんな感じ。
 

“、”が入ってなくて文章がおかしかったり、小さな“つ”が入ってなかったり…ん？こういうのって文庫を交換出来るんだっけ？
 

とりあえずお金出して読んでる身としては理不尽な思いもしてしまったわけです。

＜＜関連記事＞＞

・　評論（書籍）　最後の夏に見上げた空は <1>
・　評論（書籍）　最後の夏に見上げた空は <2>

評論（書籍） 涼宮ハルヒの退屈

涼宮ハルヒの退屈 (角川スニーカー文庫)

posted with amazlet at 11.01.09

谷川 流
角川書店
売り上げランキング: 2803
 

Amazon.co.jp で詳細を見る

著者:　谷川流、　イラスト： いとうのいぢ
初版:　2004年1月1日
種類： SF/ファンタジー
５段階評価:　4・・・ああ、初めて読む話は面白い

 ハルヒと出会ってからしばらく経って、俺はこの状況にすっかり慣れてしまっていた。
しかしハルヒは何時になったら"退屈"という文字が消えるのだろうか？

今回も草野球、七夕の事件、パソ部部長失踪事件、孤島での出来事。
お腹いっぱいの夏になりそうだった。

『涼宮ハルヒの退屈』
この本のタイトルにもなっている話。アニメでも好評の草野球参加話である。この本の全編に渡って活躍する長門の序章（笑）第1話にふさわしく、いかにハルヒが面倒な存在かをキョンとともに再確認する話でもある。最後の締めも、ただキョンが不幸になるってだけではなく、なかなかにうまいと思う事が出来ます。

ちなみに私もこの手の野球には参加した経験はありますが、そのノーコンぶりや打てなさっぷりに反比例して目立ちたがりやな自分に驚愕したものである。

『笹の葉ラプソディ』
アニメ１期では放送されなかった話。実はキョンは過去に行って既にハルヒと会っていた。しかもハルヒが北高校でSOS団を立ち上げるきっかけとなったのがキョンだったのは面白いね。このことをハルヒは大切な思い出としてる所が、何だが後の話の重要な伏線になりそうで楽しみである。

『ミステリックサイン』
パソ部部長再登場（？）アニメ版と違って話全体が縮小された感じで物足りなさを感じてしまう（逆なのだが）。しかしよく考えればハルヒが暇を感じ始めたら景気良く事件が起こるんだからある意味幸せな連中なのかもしれない。文字通りのSOS団だ。そういや結局“喜緑さん”って何者だったんだろうね？

そういや巻末にて作者が「長門さんは眼鏡はあったほうが良いのか」と自問しておりますが、私としては、あったりなかったり臨機応変にいけば良いと思う。

『孤島症候群』
ある意味、この巻のメイン。アニメとの違いは妹が孤島に行かないって部分と、やっぱりどこかさっぱりしている。最後の方なんてページ数が少なくなってきてるのに会話が終わりそうに無かったので心配してしまった。

それとこのサスペンスの緊張感は動画あっての緊張感な気がする。これは超クオリティである京アニ作品を見てしまったがゆえなんだろうな。だって逆転裁判ネタなどの小ネタや伏線が実に巧妙だったんだもん（笑）

短編集なのでこの本は前2作よりも非常に読みやすくなっています。作者特有でる比喩的表現の言い回しがクセになりそうな1冊です（笑）



＜＜関連記事＞＞

・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの憂鬱
・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの溜息
・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの消失
・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの動揺

評論（書籍） Trinity Blood―Reborn on the Mars 嘆きの星

トリニティ・ブラッド―Reborn on the Mars 嘆きの星 (角川スニーカー文庫)

posted with amazlet at 10.12.18

吉田 直
角川書店
売り上げランキング: 116818
 

Amazon.co.jp で詳細を見る

著者:　吉田直、　イラスト： THORES紫本
初版:　2001年3月1日
種類： SF/ファンタジー
５段階評価:　2・・・面白いのだが、既視感（汗）

　人類圏と吸血鬼帝国の間に位置する自治都市を支配する吸血侯爵ジュラ。人々は恐れ、その都市には足を向けなかった。しかし、一人の神父がそこへ向かう事になった。彼の名前はアベル。一見間抜けだがどこか謎めいている。その彼が目的の教会に向かう途中で一人の少女エステルと出会う。彼女は吸血侯爵ジュラに逆らうもの。その過酷な道に、アベルは飲まれていく・・・いや、最初からそこにいるのだが・・・。

久々に本格化ファンタジー。面白い、やっぱり私はこの種の作品が好きだ。登場人物はかなり多くて癖があるが、クセがある分記憶に残り、覚えやすい。ただ絵にもクセがあるので、合わない人は人物の感情移入がしにくくなるかもしれないな。ちなみに私はエステルしか受け入れることが出来なかった。駄目な人はアニメ（DVD）でも見て満足しましょう。

ストーリや世界観も面白いのだが・・・何故だろう？どこかで見た気がするのだ（汗）

へっぽこ神父が実際はもの凄かったり、敵同士の裏切りとか、最後のオチまでよむ事が出来てしまった。うーん、なるほど・・確かに設定が[TRIGUN]や[ヘルシング]はたまた自分が夢中になって読んだ[ヴァンパイヤーハンターD]に似ている。その上、最後の敵が改心しちゃってエステルかばって死ぬってのはな～正直に言うとドン引きしてしまった。

ま、それを補って有り余るのが作者の文章力なのですがね。難しい設定なのだろうが、その文章能力で理解しやすく覚えやすくを実現してるのだ。残念な事に作者が急逝してしまい未完となってしまっています。

中途半端が嫌な方は読むべきではないかもしれませんね。

評論（書籍） 最後の夏に見上げた空は <2>

最後の夏に見上げた空は〈2〉 (電撃文庫)

posted with amazlet at 10.12.16

住本 優
メディアワークス
売り上げランキング: 464553
 

Amazon.co.jp で詳細を見る

著者:　住本優、　イラスト： おおきぼん太
初版:　2005年4月25日
種類： ファンタジー/恋愛
5段階評価:　4・・・心情が泣けます

悔しい。悔しい。
けれど－どうしようもない。

僕はいっそ滑稽なほど、無力だった。


季節は夏を過ぎ、秋を迎え、そして冬が訪れる。

遺伝子強化兵である小谷は、相変わらず怯えていた。前に進みたい気持ち。でも名門と一緒に過ごす生活を壊したくないという気持ち。泣き虫なのは変わらない。

でも彼女は確実に成長をしていく。

周囲の支えによって。環境の変化によって。

名門が居ない一週間で、悲しみを抑えて強がる男子と出会い、彼女は少し強くなった。

クラスメイトの青木啓介の過去を知り、友達の大切さを知った。

そして名門の事を離れがたい存在と気づいた。
少し傍を離れるだけで不安になってしまう。
一緒に居るだけで安心し、胸の鼓動が早くなる。

それは、芽生えてはいけない感情のはずだった。


なるほど、1巻はまるまる序章だったわけか。そりゃあ読んでてダレるわな。今巻では前巻での伏線が紐解かれ始めます。それが実に丁寧で読む人の心を引き込みます。正直面白かったです。

小谷や名門に感情移入しまくりで、一緒に切なくなったり笑ったり。どこか、くすぐったいような感情を与えてくれる。暖かい気持ちにさせてくれる。

しかし…偉そうに物を言ってしまうけど文章の書き方が１巻よりも上達してないだろうか？

たしかに小谷の成長がメインであるから共感も得やすく面白いのは分かるのだが、文章の丁寧さが2巻では際だってる様に思える。うーん、凄い！

名門への感情に気づいた小谷と、理解できずに戸惑う名門に何度もニヤニヤしてしまった。それは悲しい過去を迎えるであろう結末を忘れるほどであり、それだけに辛くもあります。

また、サブキャラも良い味を出していて非常に面白かったです。

吉原はいいですねー、素晴らしいです。彼のような人物は書く方も書き易いんじゃないでしょうか？メインの話し以外にも登場し、結局は笑わせてくれる人物になりました。愛すべき人物です。っと言うか吉原のイジメは本当にイジメか？小学生低学年並のイジメに何の対応も示さない主人公達に少し呆れてしまった（最後に奮起しましたが）

さて、今巻では新たな気持ちに気づいた小谷他に、小谷の姉の登場がメインとなってます。日常の笑いを見せながら、確実に最後の時を迎えようとしている。そこに生まれてしまった名門への思い。動き出す環境達。起承転結のまさに“転”であったと思います。

次巻はついに“結”である最終巻。

楽しみです！
 

＜＜関連記事＞＞

・　評論（書籍）　最後の夏に見上げた空は <1>
・　評論（書籍）　最後の夏に見上げた空は <3>

評論（書籍） 最後の夏に見上げた空は <1>

最後の夏に見上げた空は (電撃文庫)

posted with amazlet at 10.11.28

住本 優
メディアワークス
売り上げランキング: 467784
 

Amazon.co.jp で詳細を見る

著者:　住本優、　イラスト： おおきぼん太
初版:　2004年12月25日
種類： ファンタジー/日常系
5段階評価:　3・・・盛り上がりに欠ける

でも、生きている

まだ生きているんだ

『遺伝強化兵』
子供達は、そう呼ばれる存在だった。

戦争に投入されるために開発された子供達。しかし、その機会は結局は訪れなかった。戦争は終わり、平和になった世界。そして戦争の傷跡は確実に残る。遺伝子強化兵となった子供達は、17歳になると死んでしまう運命にあったのだ。

小谷順子は今年で16歳である。彼女は残りの1年を、恩人の名門と共に精一杯に生きたいと願っている。迷惑をかけないように、彼を悲しませないように、無くしてしまった記憶に怯えながら－…。

タイトルに一目惚れして買った作品です。

泣けると思ったんですけどね（笑）

主人公・小谷順子が思ったよりも命については悩んではいなく、記憶が無いことで名門に負い目を感じている。これがこの巻のメインテーマとなってます。これはまだ、1巻だから仕方のない事なのだろうか？でも最後の夏と銘打ってるならそこも掘り下げて欲しかったところ。少し拍子抜けでした。

あとイラストですが、私の好みではないですねー。

名門も桂木も若く描きすぎじゃないだろうか。一見、高校生に見えてしまう幼いイラストは若干受け入れられなかった。つーか、女の子の顔が全て同じ顔じゃね？うーん、雰囲気は合ってて好きな絵柄なんですけどね。

サブの人物に共感出来なかったのも痛い。私は太一と莉乃には腹が立ってしまった。どんな状況や過去があろうと、やったことは我が儘で悪い事なのに、それを軽く（名門はそうでもないが）流せる周囲に呆れてしまった。

特に莉乃はどうなのさ。いくらなんでも初対面であそこまで要求してくるのは度が過ぎないだろうか？莉乃の境遇も、そりゃ悲しいものだろうけどね。でも、この少女は基本的に物凄い我が儘で自分勝手なのだとしか解釈出来ない。最後に何か1転するような言葉を名門にかければ印象は変わったんでしょうけどね…。

ただ、全体的には丁寧で、ほんわかした雰囲気は良かったです。何より小谷と名門、そして桂木を含めた掛け合いは面白く、それだけでも読む価値はあると思う。

過去や未来にとらわれず、現在(いま)を大切にし、大切な人との時間を精一杯に生きている様は不思議な絆を感じることが出来るはず。

全３巻ですが、これから展開がどう動いていくのか、彼女らが悲しい未来をどう見つめていくのか。楽しみにしたいと思います。

最後に、誤字脱字は御愛敬。

編集者のチェックミスですかね（失笑） 

＜＜関連記事＞＞

・　評論（書籍）　最後の夏に見上げた空は <2>
・　評論（書籍）　最後の夏に見上げた空は <3>

評論（書籍） 涼宮ハルヒの溜息

涼宮ハルヒの溜息 (角川スニーカー文庫)

posted with amazlet at 10.09.27

谷川 流
角川書店
売り上げランキング: 24759
 

おすすめ度の平均:

キョンは文章だけの印象だとただのイヤな男
キョンによるキョンのための妄想夢物語？　
ハルヒの止まらない暴走
落ちのうまさに脱帽、才能を感じさせる第２作！
二作目
 

Amazon.co.jp で詳細を見る

 

著者:　谷川流、　イラスト： いとうのいぢ
初版:　2003年10月1日
種類： SF/ファンタジー
5段階評価:　3・・・ハルヒを許せるか、むかつくか

あれから半年が過ぎた。

状況は変わらない。

教えたのだ。周りは実は不思議だらけで、
ハルヒの周りには宇宙人が、未来人が、超能力者が居ることを。

しかし信じる事は無く、あれから半年が過ぎた。季節は秋になっていた。学校は文化祭で賑わっており、もちろん涼宮ハルヒも賑わっている。そしてもちろんSOS団には平穏無事は訪れないのだった。


今巻では、文化祭における映画撮影が主なストーリーと成っている。
そして、この映画を通して様々な人間模様を1巻以上に表しているのだ。

特に目立ったのがハルヒであり、とにかくミクルいじめが強烈である。
この時点で不快指数がどの位上がってしまうかが、今後読み続けるかのキーになるのではないだろうか？

また、ハルヒに限らず、いくらなんでもミクルびいきしすぎるキョンや、結局自分の事しか考えない話好き古泉など、1巻以上に皆アクが強くなっている。逆に言えば個性が前面に出ているって事になるといってもいいかもしれない。

今巻で、ハルヒの言葉が次々と現実の物となることで、この世界観をより強く表す事に成功している。他の皆も個性が強く出てる分、きちんと各役割が出てきて面白い。猫のシャミセンも良い味だしている。

しかし、それが逆にマンネリ化してしまい一歩間違えれば“飽き”が来ないだろうか？私的にはまだ楽しめた方だが、これはマイナス要因だなと思います。

最後の展開も少し強引で、全体的にギスギスしていたが（キョンが古泉、長門に対して1巻に比べ冷めてる）仕方がない、これが涼宮ハルヒワールドなのだ。純粋に事件や展開、もしくはキョンの独り言ツッコミを楽しめるのなら、このシリーズは読破出来るんじゃないでしょうか？



＜＜関連記事＞＞

・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの憂鬱
・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの退屈
・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの消失
・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの暴走
・　評論（書籍）　涼宮ハルヒの動揺